2000年 ヨーロッパ・ツアー
水と油 in Europe 前期

イタリア / トリノ (7月9日〜14日)

フランス / アビニヨン(7月15日〜16日)

イタリア / トリノ (7月18日〜20日)

フランス / パリ(7月21日〜22日)

イギリス / ブライトン (7月23日〜29日)

イギリス / エジンバラ (7月30日〜8月16日)


7月9日

皆さんご機嫌いかがですか?

カフェとジェラード、そして、ナンパの国イタリアへ水と油初上陸です。だがしかーし。ここに到着するまでに色々ありましたがな。

なにがって? それは成田でチェックイン期限ギリギリ5分前までメンバー3人が来なかったんです。しかも航空券は高橋さんが一括して持っていた方が安心だろうといって前日、高橋さんにまとめて持ってもらっていたのです。

航空券がないとどうすることもできないデク2人(照明の佐藤さんとわたくしすがぽん)『時間になったら帰ろうね。』と深刻に相談していると遠くからニコニコしながら御一行様登場! あと5分で締め切りのむねを伝えるとみんなかなり冷や冷やでのこぎりや小道具のボールをな質問されながらも何とかチェックイン。その後、出発前恒例の『ライオンで乾杯!』の儀式をすませ、いざ出陣!

飛行機内はではエコノミーなのに個々にモニターやグッズが付いており12時間の長い移動を苦もなくゲーム&映画でメンバー一同終始ご満悦!

笑顔でロンドンに着き乗り換え待ち。そこには日本人が溢れ返っていて、その中の水をそれぞれに6リットル位ずつ持った怪しげな男性グループを指差し『あれは新手の宗教だよ。』とじゅんじゅんが説明してくれました。だとしたら何教なんだろう?

小型機に乗り換えトリノへ。小型機の中は異様に冷房が効いていて極寒のカチンコチンでした。イタリア人は寒いのが平気なのか、余裕で上着を脱ぎアイスまでぺろりとたいらげていたので負けてられるかとわたくしすがぽんも寒さに震えながらチョコレートアイスをいただきました。クーラーガンガンでのアイスもおつなもんですぞ。

トリノに着くとまたもや大問題発生!! な、な、なんと!道具の入ったかばんが一つ足りないではあーりませんか。暗雲立ち込める中、空港でピザを食べようか食べまいか一人で迷うのでした。


7月10日

トリノ(正確には隣町のモンカリエリというところ何ですけど…)はやや暑いです。

おのでらんです。

とにかく大変なんですよ! 超VIP待遇なんです。なんと、日本人がこの街で公演をするのは初めてらしく、至れり尽せりなんですな。これが…。

今まで、宣伝をするために、色々と苦戦を強いられてきたことを考えると夢のようですけど、よくよく聞いてもらうと、車でホテルまで迎えに来てくれた若いスタッフたちは、水と油のビデオとかもを見てないらしいご様子。大丈夫なんですかねぇ? キラキラした目で見てくれちゃってますけど。これで作品を見せたら、来なくなったりしないでね。などと通じるはずもない日本語で話しかけたりしています。

さて、今日の予定は、劇場に挨拶に行って、稽古場で軽く稽古といった予定だったんですけど、劇場に着くなり「市長に会ってくれ」との依頼。訳もわからず言われるままついていくと、なんだか歴史を感じさせる部屋に通されて、えらそうな方が登場してきました(まぁ実際えらいんですけど・・・)。長いスピーチの後、彼の仕事場で記念撮影。色々とお土産までいただいちゃって、彼の目からも期待の高さがうかがえます。そんな中、突然、隣町のえらい方が見たいというので、大道芸をやってくれないかと頼まれちゃいました。この異常な期待の中でやっちゃっていいんですか? 場所もトリノの中心の広場の許可をわざわざとってくれちゃったりして・・・。ピ、ピンチです

結果は、ドロー(ドローといってくれ)。お客は集まったのですが、あまりにも広場が広くて、自前のスピーカーは、まったく歯が立たず。お客は楽しんでたようですが、「こんなんじゃ、ないのよ…」と言い訳したくても伝わらないし。彼らはどう思ったのでしょう…。聞くこともできないまま帰りの車の中で疲れたフリをしていると、「明日はラジオに出てもらいますね」だって。ラジオって…僕らしゃべらないのに…。


7月12日

こんにちは。じゅんじゅんです。今日はいよいよ本番!フランス、イギリスについで海外公演3カ国目のイタリアで爆発(予定)です。

いつものように6時半に起床(俺だけ!!)、町を歩いて本日の敵の様子を確認した後カフェに入り作戦を練る。今日のチェック項目は音響の件と(テクニックのフランコがいまいち不安なのとスピーカーの状態が最悪!)床のリノリウムの解決策(靴で立つのですげー滑る)。あと鞄!! 何とか3時のゲネまでにはどうするか考えないとな。

ホテルに戻り、まだ寝ていた須賀ちゃんをたたき起こし飯を食っていざ劇場に! リノリウムが滑る件に関してはイワーノが言っていた「コーラをぶっかけろ作戦」をかなり不安になりつつも決行することに。

昨日聞いた時点では「おい、リノにコーラ? なめてんのか?」と水ちゃん油ちゃん一同全然相手にしなかったのですが、昨日通しをやって動いたら面白いようにつるつる滑り全くやばい状態であることが発覚!このままでは滑りを見せる作品になってしまう!というより怪我をしてしまう!なんじゃそりゃ?ということでコーラを買ってきて作戦開始です。

恐る恐るリノにコーラをたらし、ぞうきんでぬりぬりしました。しばし乾くのを待ってからみんなで上にのってみると、、、「をををををおおお!!!全然滑らん!!!!」「グリップがっちりじゃん!」みんなで浮かれて飛んだりはねたりです。うわ〜いと言いつつスライディングをすると、「ぐげっ!」。グリップが良すぎてスライディングできなくなりました。あ゛〜〜〜!何やってんだろ、しかしあきらめず今度はうすーくぬることに。

おおっと、今度こそだいじょうぶです!!!グリップの具合も最高です。やりました。水ちゃん油ちゃんここでも難関クリアー。イワーノありがとう!イタリア万歳!よっしゃ〜!そんなところへなんと鞄も到着!!!

うわ〜い、おかえり鞄ちゃん!よく無事だったのう、、、、。みんなもう勝ちしかないと気合が入りだしました。昨日行かなかった大道にも行くことになりいざトリノへ!

なんと今日は車の上にスピーカーが積んである!!!!これは使えるかも。広場に行ってセッティングするとすげ〜力強い音が。「いける、、、」 ひとも前回と違っていいあんばいで集まりだしています。こっちのテンションも盛り上がり宣伝のパフォーマンスも気合で投げきりまずは一勝!つぎは本番です。

いよいよ勝負、、、。楽屋で待っていると着々とお客さんが来ているとのこと。むむむ、、、。

水ちゃん油ちゃんは果たしてイタリアでうけいれられるのだろうか?お客が入りだすとむしろ不安になっていきます。なんと100人近く入っているとのこと。あ”あ”あ”、、、、。半ばやけくそになりつつ、気持ちもひっくり返ってみんなで「やるしかない!!」といきり立っていざ本番!

はじめて出会うイタリアの観客、心地よい緊張感の中作品は進んでいき、大きなミスも無く(音響のミスはあったが)エンディングへ。カーテンコールに出るとすげー勢いの拍手&ブラボーの嵐です。これにはマジでびっくり。なんと客席明かりが入っても、拍手は鳴り止まず、5回も舞台に出ることに。イタリアのお客はみんなこうなんだろうか?と若干不安に思いつつもうれしさは止まらず、裏でガッツポーズです。

あとでスタッフに拍手のことを聞くとほんとにみんな喜んでいたとのこと。スタッフもびっくりしていました。やりました!水ちゃん油ちゃんイタリアでも勝利です!!!!!

ほんとにアウェーでも強いな〜。この3連戦全勝でイギリスに向かいたいですな。まずは一勝!


7月13日

チャオ!ご機嫌うるわしゅう。

それにしても暑いですねー。ヨーロッパに来れば暑さの呪縛から逃れられるかと思っていたのですが、甘かった!こっちにはクーラーなんてものは付いていないんですよ。あるところにはあるんでしょうがね。僕にしたら劇場についていないのがかなりつらいですね。公演後いつもまず水を1リットル一気のみでございます。

こっちに来ていつも思うことは何で日本には炭酸水があまり売ってないんだろうってことですね。めちゃくちゃ清涼感があって爽快なのに無糖のノンカロリーまさに夢の飲み物なのでございます。毎日がぶ飲みでございます。水てんこもりでございます。

丁度緊張感がほぐれる頃なのか、今朝はさすがにみんな眠そうでした。そんな中、毎日一人6時に起きカフェでたそがれる男がひとり。そう!それがじゅんじゅんです。

今朝はメイン通りに仮設市場ができていたらしく、声を荒げながらみんなに教えてくれました。昼食の時にみんなでちょこっとだけ寄ったのですが、なんといいましょうかこれぞ海外といった感じ。

そんな空気を満喫していると…。ゴホン!レディース&ジェントルマンあんど、おとっつぁん&おっかさん!お待たせいたしました。つ、つ、ついに見つけました。今期イタリア一番と思われる美女発見。残念ながらツーショットはGETできませんでしたが、写真と撮ることに佐藤さんが成功しました。どうですかみなさん。素敵でしょ。話しによると現地の男たちもメロメロらしいですよ。そこで皆さんに使えるイタリア語をお教えいたしましょう!『トゥウ、セイ、ベーラ(べーロ)』美人(美男)ですね。『コザファイ、スタセーラ』今晩何してるの?『トゥウ、セイ、べーリーシマ(べーリーシモ)』最高にきれいだね。

どうです。使えるでしょ。公演もかなりうまくいきおいしいパスタやパニーニが食べられて幸せな一日でした。


7月14日

お客さんの入りが好調だということを聞いてちょっと戸惑っています。おのでらんです。あっという間の最終日を迎えて、最後の一回がこけないように祈るばかりなのです。

フェスティバルも最終日(あっそうです。水と油はこのフェスティバルのメイン劇場のとりをとっているのです。)で町の真ん中の広場で大きな催し物があるとのことで客がそちらに行ってしまうのではないかという不安を前々から聞かされていたので、ここまでの好調が途絶えてしまわないように気合の入れ直しです。

そんなこともあってか劇場責任者のイワーノが気を遣ってランチに寿司を食べに連れて行ってくれました。「外国の寿司を食ったら、公演中大変なことが…。フフッ。」という照明の佐藤さんの不吉な言葉を胸に正露丸を握り締め、海外寿司初挑戦です。

蓋を開けてみると思ったよりもおいしそうなのに一同びっくり。イタリアの関係者も集まっていただきマース。おいしそうに食べる日本人(もちろん佐藤さんも)と裏腹にイタリア人は不思議な笑顔で頷くのみです。聞くと「ボーノ!(うまい)」と答えるのですが皆、微妙な量を残しています。せっかく仲良くなったのに若干距離が開いてしまったかも…。ただ、通訳の田中さんはご機嫌のようなので、色々と迷惑かけた分、良しとしましょう。

さて、本番です。なななんと予想を裏切り一階席はほぼ満員とのこと。じゅんじゅんの口から糸が溢れ出します。

いくつかの失敗があったものの無事終了し、今まで以上に一番の拍手喝采でした。よかったよかった。

その後打ち上げのパーティーが行われました。パーティーといえば初日からほぼ毎日行われてはいるものの次の日の公演を理由に途中で帰っていましたが今日は行けるとこまで行くのみです。イタリア人は陽気です。片言で「ミズトアブ〜ラ」と絶叫しながら飲んで歌って踊りまくりです。

そんな中で目を見張ったのはすがぽんです。さすが水と油の宴会部長。「イタリアはいいっすね。」と、くねくねしながら踊っています。時計を見ると既に4時。明日はアビニョンに行かなくてはいけないことを思い出しダッシュでホテルに帰ってきました。


7月15日

いやー!今日はついにイタリアはモンカリエリからフランスのアビニヨンに移動です。イタリアもものすごい勢いで好きになったのですが、やっぱりアビニヨンは、初めて海外で一ヶ月も生活&公演をさせてもらった土地だけに思い入れは大きく朝から胸がわくわくでございました。

荷物を劇場に置かせたまんまにさせてもらい、少し早めに駅に着いて、往復切符を買っていると、昨日のパーティーの時のダンサー(?)の子がいるではありませんか。彼女はミラノに行くらしいところまでは解ったのですがなんせ片言の英語ゆえにひたすら笑顔で別れを告げ、駅のレストランでイタリア初のピザを体験。それでも十分美味しかったのに、駅まで送ってくれた劇場主のマオリッチオの『これがイタリアピザだと思われたら困る、イタリアに戻ってきたら、うまいピザ屋に連れてってやる!』と心強い御言葉に目を輝かせながら、電車に乗りいよいよアビニヨンへ。

乗換えやらなにやらで多少のトラブルが有ったものの何とか車内でコーヒーを飲んでいっぷくしながらゆったりとアビ二ヨンに到着。しかし、着いたアビニヨン駅はTGV用の新しい駅で前回着いたアビニヨン駅とは車で10分ほど離れた駅に着いてしまったのです。

そこから目的のホテルや劇場に行くのにはタクシーかバスしか方法は無く、タクシーを待ったものの人数が5人ということでタクシーに乗せてもらえず、2台呼んでやるといわれ20分近く待っても一向にくる気配が無いので、シャトルバスで行こうということになったのですが、みんなイタリアのお金リラは持っていたもののフランスのフランを誰も持っていなかったのです。

そんな展開の中、佐藤さんが一言『さっき電車の中でコーヒー飲まなければ余裕だったのに・・・。』と心に直球で突き刺さる痛〜いお言葉。みんなうなだれれいると高橋さんが、『これでいけるかも』と財布をひっくり返して去年の使いのこしの砂利銭を発見してくれたのでした。ふ〜危ない危ない。

なんとか人数制限ギリギリでシャトルバスに乗り無事城壁内へ。城壁の内側に来るとなんともいえない懐かしさと地元に戻ったような安心感にメンバー全員終始笑顔と思いきや外は極寒でみんな寒さで顔がこわばっていました。しかも、全員半袖の超軽装。わたくしにいたっては半袖・短パン・雪駄という山下清バリの間抜けなカッコだったのでその寒さたるや容易に想像して頂けるでしょうか?

おっと!アビニヨンですがぽんと言えば、そう!覚えていらっしゃる方もいらっしゃるでしょうか? トモちゃんです。気になるので早速トモちゃんの店で食事をしようと半ば強引にスケジュ−ルを決め、いざ!トモちゃんの店へ。

案の定トモちゃんの店は閉店のご様子。しかし、トモちゃんの妹?が気づきトモちゃんを呼んでくれ、トモちゃんとしばし御歓談(残念ながら通訳の小林さんを通してなんですがね・・・。)いや〜なんとも、ナイス・アビニヨンってなもんですよ。明日からもがんばるぞ〜!


7月16日

ももこん@体言止めリポート。シャンタルと過ごす一日。

朝ホテルを出て(豪華な朝食に歓喜したものの会計の段に別料金と知り意気消沈。)トランプラン劇場へ。

去年一ヶ月滞在していたので道は確か。一年間も大きな赤ソファ×2を預かってくれていたシャンタルに感謝。

さて、送ろうという時になって郵送先のエジンバラの劇場の住所が書いてあるパソコンが開かないことが判明。何のためにアビニョンまで来ているのでしょうか…。

パソコンとの格闘を須賀君に任し、とりあえずソファを郵便局まで運ぶ。長蛇の列を見て安心。順番が来る前に須賀君がパソコンを開くことが出来るのか、あるいは小野寺さんが琵琶湖にいる辻っちょと連絡が取れて住所を聞き出すことが出来るのか!じりじりして待つ。しかし列はあっという間に私たちの番に。

とその時去年のエジンバラからトランプランへの郵送票がソファに付いているのを発見。去年の宿泊先(今年も)であるスーザンの家に送らせてもらうことにする。劇場からスーザンの家はめちゃくちゃ遠いけどそれはその時考えよう。よしよし…。

あ゛ー電話番号が分らない! 大切な荷物だけに無記入のまま郵送は危険です。辻っちょは捕まらず小野寺さんリタイア。後はパソコンを繋ぐ須賀君を待つものの、郵便局は12時から15時まで長いランチタイムl休憩に入ってしまうためリミットが近い。

とその時小野寺さんが財布にくっついたシールのはぎれを発見。ス、○○××・・・。「あっ、これスーザンの家だ」ということで、この一年毎日使っていたにもかかわらずこの時初めてその存在に気付いたのでした。しないでいいドキドキを味わったもののソファー郵送終了し一件落着。

トランプランに戻りシャンタルとランチを食べに出掛ける。シャンタルはとても饒舌でたっぷり2時間かけて食事。彼女はアビニョン演劇祭が年々大規模になっていくことはあまり喜ばしいことではないらしい。古いものを愛する彼女ならでは。確かに新しいアビニョン駅はがっかりしたなあ。

その後3時間ほどアビニョンの町を散策。昨年参加していた時とは違う気分で歩く。夕方シャンタルと待ち合わせをしてアビニョンの城壁を出て20分ぐらいの小さな村に車で連れて行ってもらう。そこは静かな所で昔修道院があったところ。その中のレストランで夕食。夜の8時なのに空は昼間のよう。トランプランに戻り観劇。フランス語及び内容が全く分らなかったにも関わらずとても楽しめた。

夜中最後の演目が終わるのを待ちつつ昨年同様シャンパンとお菓子という組み合わせでもてなして頂く。深夜1時過ぎに最後の演目が終了し、トランプラン劇場の舞台上で仲良く並んで就寝。レポートは後半息切れしていますが実際は盛りだくさんの楽しい一日でした。


7月18日

こんにちわ。水と油ファンの皆様はじめまして、いよいよやってまいりました120%全力投球、いっぱいいっぱいでおなじみのわたくし佐藤ひでひろがペンをとらさせていただくこととなりました。ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、わたくし佐藤ひでひろはダンスパフォーマンスユニットLOOPの代表であり振付家・ダンサーでありながら、水と油のスタッフもやらせていただいております。ありがとうございます。

さて、ヨーロッパツアーに出てからちょうど10日目、前日イタリアの地に戻ってきていた私どもは先週とは別のホテルに滞在することとなりました。が、このホテルに移ったことにより誰もが予想し得なかった幸運がわたくし佐藤にやってきたのでございました。

発見!発見です!1492年アメリカ大陸発見です。ホテルの一階にあるバーレストランでわたくしはとうとう発見いたしました。イタリアナンバーワンガール、年間ベストテン第一位、はじけて飛び出るボンバーガール、その名も【デボラ】。小田茜を究極にかわいくしたこの容姿にわたくしもいっぱいいっぱいでございます。120%、限界LOVERSでございます。そしてこの日、日中ワークショップで疲れた体を癒しに店にやってきた僕ちゃんは、デボラを発見するや否やハイレベルなナンパ術を駆使し、覚えたてのイタリア語も立て板に水、やりました!とうとうやりました。やってしまいました。え〜結果は写真を見れば一目瞭然、日本の皆様すいません、わたくし佐藤は1ランクUPとさせていただきます。

余談ではありますが、前にも述べたように、この日はイタリアで初のじゅんじゅん指導によるパントマイムのワークショップが開かれました。地元のアクターを中心にイタリア人参加者は5人。こちらもわたくしを含め5人の為、後半は一対一でパントマイムのテクニックの王道≪カベ≫を教えることとなりました。私の教えたシュチュワート(本名は知らない、なんとなく見た目)はさらに発展したテクニック、固定点(マイムの専門用語)応用させたテクニックをマスターしてしまいました。終了後全員の希望により予定にはなかった明日もワークショップをやることになりました。というわけで、初先発で一安打完封みたいな、わたくし佐藤ひでひろプレゼンツ、ナイスな男佐藤ひでひろが、佐藤ひでひろがお送りしいたしました。


7月20日

今日はわたくしすがぽんお気に入りのイタリアをあとにする日。思い返せばイタリアはすりが横行するみたいな怖い印象といいましょうか、先入観があったので初めのうちはあまり行きたくないところと思っていたのに、まさかこんな気持ちになろうとは誰が予想できたでしょうか!

えっ? どんなところが気に入ったのかって? そ〜ですね〜。色々挙げればきりが無いんですが、まずはジェラードがめちゃウマなのに一段1000リラ(約60円)。日本じゃ『がりがり君』か『ホームランアイス』の値段ですよ。どうなんですか? みなさん。もちろん『がりがり君』や『ホームランアイス』も大好きで、日本ではかなりの頻度でお世話になっているんですけどね。果物盛りだくさんで60円はかなり反則でしょ!

ピザやパスタも『モルト・ボーノ』ですしね。とにかく美味いんですな〜、これが。作ってくれる人だって食べる事がいかにも好きってな感じでめちゃくちゃ美味しい物を作ってくれそうでしょ。そんな国イタリアにまた行きたいし、皆さんもぜひ行ってみてくださいね。でも、鞄は前に抱えて歩くのは基本です。現地の人が言うんだから間違いないです。はい。

そんな大好きな国イタリアに『また必ず戻ってくるからよ〜!』と心の中で挨拶をし、向かうはまだ見ぬ強敵、イギリスはブライトン! 嫌でも気合が高まる中、移動もすがぽん初の寝台車だったため、かなり興奮気味で電車に乗り込みました。車内の部屋?は6人部屋、メンバーは佐藤さん含め5人ってことはと一同目をキラキラさせながら相部屋の方を待つこと数分、『小粋な英国トークで今日は寝れないかもね。』などと誰も英語がしゃべれないことも忘れ妄想を膨らませて、まだ見ぬ相部屋の相手を待ちました。

ドアが開きみんな夢一杯のこんな顔で御出迎え。乗ってきたのは若いカップル。荷物の量とドアを開けたとたんいきなりこんないっぱいいっぱい顔でのお出迎えにえらくたじろいでいたご様子。しかもどうやら乗っていくのは女の子の方。荷物を置くや否やドアを閉め出て行ってしまいました。(でも、別に嫌な感じで出て行ったわけじゃ無いですよ。たぶん…)

みんな会話を楽しみにしていただけにちょっとがっかりモード。しかしそんなことでめげない水ちゃん油ちゃん。もどっつてきたら何を話そうか相談していると目にいっぱい涙をためた彼女が戻ってきました。どうやら彼と遠距離恋愛中だったご様子。さすがにかける言葉が見つからず車内暗転、気は動転みたいな! しかたなくみんな黙って寝たのでありました。明日からはブライトン、さてどうなりますやら…。


7月21日

目覚めると、そこはパリ。おフランスの香り漂う素敵な朝は、手荒な車内放送で始まりました。
おのでらんです。
まさかの寝台列車での移動に皆少々おつかれ気味ですね。乗った時は物珍しさに大騒ぎだったものの、一夜明けてみると体が悲鳴をあげています。疲れを癒すためにも、早速予約してあるホテルへと向かいたいところなんですが、どこなの?ここ!ってな感じです。

パリとは言うもののこの駅がどの辺にあるのか全く分かりません。とにかくホテルがモンパルナスにあるので、「モンパルナス(フランス語風)」と叫びながらホテルへと向かいます。やっとの思いで着いたホテルも13時30分チェックインなので休むことすら出来ないとのこと。荷物だけ預かってもらい、今日の予定である10月のショーケース公演が行なわれる劇場の下見のためにエッフェル塔のそばにやって来ました。

エッフェル塔はすごい人ですよ!実際。土曜日と言うこともあってか、人がうじゃうじゃいます。午前中だっていうのに・・・。塔に昇る気満々のすがぽん、ももこんをひきずりながら、カフェで時間がくるまで一休みです。ふと気付いたんですけど、どうしてカフェで働く人って男の人が多いんでしょうね。これは、去年から思っていることなんですけど、なんか決まりがあるんですかねぇ?

そんなことを考えている間に下見の時間になっちゃいました。すごいです!10月にやる「日仏会館」はすごいですよぉ。ホールを見せてもらい一同、お口あんぐりです。機材も充実しているし、スタッフの方もとても親切で、嬉しさのあまり、意味ないガッツポーズを披露しつつ、きっと良いものをおみせしようと心に硬く誓う一同です。

夜は、「インドでどう?」というじゅんじゅんの言葉に誘われ、ホテル側のインド料理屋にに行ったのですが、入ってから出るまで、なんと3時間!! あまりのルーズさに時間の感覚がうしなわれていきそうで・・・。

明日はイギリスですね。公演がないというのも疲れるもんです。


7月22日

またも移動日です。おっと申し遅れました。すがぽんです。今日も移動日という事で7時起きで準備し、電車を何度も乗り換えパリを後にしました。

ちなみに、朝食は空港で待ち時間にマックで世界共通の味をいただきました。折角フランスなのにアメリカの味とはこれいかに。う〜ん、しょっぱい!

シャルル・ド・ゴール空港は長くておまけにアップダウンのある動く歩道があったり、ヤマトで出てきたようなチューブ状のエスカレーターがあったりと近未来的なつくりで興味をそそられた。でもちょっと古いかな?

イギリスのヒースロー空港に着き地下鉄で劇場のあるブライトンに移動しようとしていると、突然じゅんじゅんが『俺ちょっと探してくる!』といまいちつかみ所の無い一言を残し、すっと人ごみの中に消えていってしまいました。

しばらくすると『バスのが一本で行けてしかも、安くて速いみたいよ』と朗報とともにじゅんじゅんが帰ってきました。さすがじゅんじゅんさっきの意味不明発言の裏にはこんな作戦が隠されていようとは…。

ブライトンに着き劇場を探すけれどもなかなか見つからずまさかここに来てだまされた?とみんなの心に今にも暗雲が立ち込めるそんな時、ふと気付くとまたもじゅんじゅんが『俺ちょっと見てくる。』と荷物を置き去りにして、小走りでどこかに消えて行ってしまいました。

一同唖然としながらじゅんじゅんの帰りを待つことに。結局きっちり劇場を探し当て劇場の人まで連れてきてくれました。今日はじゅんじゅん大活躍の一席でございました。めでたしめでたし。

追伸:劇場はごらんの通りめちゃくちゃ大きくてそれに圧倒されながら海岸沿いを歩きつつ夕食に向かうのでした。


7月23日

こんにちは。ことこです。今年も去年に引き続き、水と油のお手伝いにやって来ました!

しかし、今回は出発前にメンバーと全く連絡が取れず、パリの滞在先に連絡しても「来てない」、ブライトンのホテルに電話しても「この電話だと接続できないから、もう一回かけて(ってなんで〜??)」ってな具合で、メンバーと合流できるのか不安を抱えたまま、Brightonへ向かいました。劇場の住所がわかっていたので、そこに向かえば何とかなるだろう!と。

幸い、Brightonの駅で打ち合わせをしていてくれたので、メンバーとも一年ぶりの再会です! そして、劇場へ。

Brightonの街は海沿いにあり、かもめがそこいらじゅうでくわぁーくわぁー鳴いてます。劇場の人達もかなり感じがよく、(アクセントが強くてかなり分かりにくいですが…。ぁわぃ、って言われてなにっ? と思えば、Away、だそうな…)打ち合わせは順調に進みました。

スープの劇中に使うための椅子用に、いいものが見つかったので、「一週間借りたい」と申し出ると、「それは無理! 買わないとだめ。でも、買い取るから大丈夫!!」となんだかよく分からない返事です…。

話をよく聞くと、買った値段で買い取ってくれるとのこと。つまりただなのかぁ〜?? こんなんでその店はやっていけてるのでしょうか?

こんな風に、とてものんびりした街での公演ですが、二日間と短いし、今回はお祭りの絡まない初めての海外公演です。どうなるのでしょうか? 明日から、本格的に練習やら、道具作り、宣伝活動を開始です。今後のレポートをお楽しみに! ではでは。


ここで緊急速報です。ただいま入った情報によりますと、ブライトンが大洪水に見舞われているもようです。それでは目撃者の佐藤ひでひろさんの証言です。

「イヤー僕がお風呂にはいろうと思ったらさー、お風呂が既にびちょびちょだったんだよねー。ちょっとびっくりしてさぁー。」

確かここは、去年の夏、アビニヨン中を震撼させた、水の帝王じゅんじゅんが同部屋だった気が…。あ、犯人が捕まったようです。犯人の証言です。

「いやー、お風呂ためちゃったんだよね。あはは。湯船にぷかんぷかん浮かんじゃってさー。あー、気持ちよかったぁ。」

いやー、今年もじゅんじゅんはやってくれますね。現地から、すがぽんでした。


7月26日

こんにちは、ことこです。7月26日、遂にBrighton公演も明日に迫ってきました!しかーし……、どうなんでしょうか、この状態は…。

というのも、よくよく考えてみれば、このBrighton公演は、Festivalの絡まない初めての海外公演なのです。ということで、町の人も普通に生活しているわけで、歩く速度がめちゃめちゃ速い! 大道をやっていても、ほとんどの人が素通りしてしまい、かなり厳しい状態を強いられています。公演を行なうKomedia Theaterは観客収容数200人なのですが、どうやら去年の平均は120人とのこと。ほぼ毎日違う演目が上映されているのに、しかも、水と油のように路上で宣伝活動をしているわけでもないのに、一体どこからお客さんがやってくるのでしょうか!? Komdedia Theaterで演じることのできる団体は既に有名で、固定客がいるのでしょうか?? 明日の今頃には、一回目の公演は終わっているはずです。一体、どんな状態で幕が開くのでしょう?

因みに、今の時点で入場券の売上は、金曜日18枚、土曜日20枚…。「ここではそれ程積極的に前売り券を買わないよ。普通は劇場に直接来るから」と、劇場の受付嬢?は慰めてくれましたが、そして、多分、そうなんだろうと思いますが、実際のところどうなのでしょうかー?

雲を掴む状態の路上での宣伝活動…。メンバーはかなり厳しい状態で、大道やチラシ配りに励んでいます。昨日、須賀くんが“影”をやったところ、最後には誰もいなかったとか。そして、今日の“バス停”でもおちに入る前に、なんでだかざーっとお客が帰ってしまい、なんともまぁ、しょっぱい状態です。昼間は暑くて、通行人は立ち止まらない。そして、6時を過ぎ、涼しくなった頃には、お店が全部閉まってしまい、通行人はいない…。むむむ。明日の公演は、本当に蓋を開けてみないことには、全く想像がつきません。なんとか、ここでも奇跡を起こせるといいのですが。

ことこでした。


そんな中、わたくしすがぽん、ここBrightonで、一勝!?をあげました。なんと、逆ナンです。ちらしを蒔いているときに、熱い視線を感じていたのですが、まさか、あそこまで積極的だとは思いませんでした。道を渡る時、積極的に車を止めてくれたり、手を広げ抱きしめてくれようとしたり……。劇場に荷物を置きに入った時も、うろうろと僕を探しているみたいでした。イタリアでも、淡いアバンチュールがあり盛り上がっていたところ、イギリスでもか!?とわくわくし始めました。イギリス人は、イタリアの人々に比べて大柄な人が多く、びっくりしていましたが、その人も大柄でした。大柄な人との関係も悪くない、と思い始めました。しかし、なんとなく手ががっちりしているのと、全体的に毛が濃いので、今回は見送ることにしました。だって、その人、おっさんなんだもん。彼は残念そうに帰っていきました……。以上!


7月28日

こんにちは、ことこです。遂にブライトン公演も最終日を迎えてしまいました。(といっても二日しかないんですけどね…)昨日のお客さまは、37人! 町の人々の大道中のさっぱりとした態度を見ていると、(というより忍耐力なさ過ぎです!なんで一目見ただけで去っていってしまうのぉ〜!!面白いんだからぁ、見てくれー、って心の中で叫びつづけています!!)一体何人のお客が来てくれるのか本当にドキドキでした。でも昨日は、去年Edinburghで公演を見て気に入り、ここBrightonに呼んでくれた劇場主のDavidが見に来てくれていて、相変わらず大満足のご様子! Edinburghでもマスコミに売り込んでくれるそうで(と言ってもそういっていたのは、こちらもたいそうお気に召した様子の奥様ですが)なかなか、前途の明るい水ちゃん、油ちゃん!

しかし、それはあくまでも、今後のEdinburghのお話です。さてさて、お客37人!去年、Avignonで37人のお客を獲得するまでの日数を考えたら、(多分1週間ぐらいかかったかと思われます)一日でこの数字はかなりすごいです! 初めての土地で知り合いもいませんしね。しかし、しかし、いかんせん37人。まだまだ満足できる数字ではありません。と言うことで、今朝は朝からチラシまき。しかし、今日は特別暑かった! イギリスにしては珍しく(多分)、ここBrightonは、海沿いの街のためじめっとしていて、しかも日差しも強い! そんななか4人は、黒のスーツに黒のコート、そして、お決まりの黒の帽子と、信じられないぐらい暑苦しい格好で(見てるのも暑い…)ビラ配りに励みました。チラシも劇場の用意してくれたものでは足りず、550枚追加!! そして、ちびっこに追いかけられつつ、青年達にいじられつつ、酔っ払いに絡まれつつ、しかし、なんとか3時間ほどで配りきる水と油! 慣れてきてます。しかし、汗が滝のように流れ、公演前から衣装はびちょびちょ…。(これらの衣装は明日、移動のため、洗濯できず、24時間ほどビニール袋の中で発酵されることに…。臭そう…)

そして、8時開演前、入り口には長〜い列が!! そして、お客さまがあとからあとから人が入ってきます! そして、今日は仕事のない劇場関係者もわざわざ見に来てくれました。昨日の公演を見たStaffが宣伝してくれたようです!

本番はなかなかの出来! なんだか変なところで大受けしたりして、演者が戸惑うこと少々…でしたが。(小野寺さんが手を滑らし、フォークを宙に放り投げてしまいました! 他のメンバーが、はっと焦ったその次の瞬間、彼はそれを見事キャッチ!そして、客席からは歓声とどよめきが!(ねらってたわけじゃないー!))でも、みなさん大満足で、公演後には大きな拍手でブラボーの声が止みませんでした!

そして、そして、今日のお客の入りは……

なんとなんと、93人!すっごーーーーーい!! すごい、すっごい!! 嘘かと思って(そんなにたくさんの人がいたとは…)何度も受付のStaffに聞き返してしまいました。Edinburghで去年見て、わざわざまた見に来てくれた人、昨日見て、もう一度見に来てくれた人、ホテルの隣の部屋の老夫婦、劇場の近くの花屋の人々など、ほんとにいろんな人が見に来てくれました。素晴らしいー! ばんざい、水と油! 今回こそはしょっぱい結果になるやも、と楽天家のわたくしでさえ!? ちょぴっと心配してしまいましたが、いやー、いいものはいい! 面白いものはやっぱり面白いんですね。

因みに、水と油の公演の特徴は、終了後、目をきらきらさせながら会場から出てくる人が多いのです。本当に感動するって、こういうことなのか、と。今日も、今までこの劇場で見たうちで最高だ、とか、今まで演劇は見なかったけど、ほんとにこれは見てよかった、とか、とにかくあっちできらきら、こっちできらきら! そして、早口でとにかく褒め称える!! 早口すぎて分からないこと多し。でも、とにかく楽しんで、喜んでくださることは嬉しいものです。これだから水と油のお手伝いはやりがいがある! だって、来たお客さんの満足度はとても高いし、公演終了後はとっても誉めてもらえますしね!! 誉め言葉を訳すのはほんとに嬉しいお仕事だわっ!って自分の事のように興奮してしまってることこより、Brightonリポートでした。

因みに、明日は、Edinburghに向かいます。去年のAvignonからの死の移動(7人でようやく持ってきた荷物を5人で運ぶ大変さ、わかりますでしょうか…)に比べれば、明日は楽なはず! それでも、大量の小道具は重い。しかし、Edinburgh!! ヨーロッパで売れるためには、ここをなんとか抑えたいっ!ので、がんばれ、水と油!! そして、イタリア・イギリスと大活躍だった佐藤さん(ちょっと前のレポート参照!)お疲れ様でした! 佐藤さんに支えられ、かなりいい舞台を作れていた水と油! 彼らにEdinburghでは、どんなTechnicalのひとが待っているのでしょうか?


7月29日

ピ・ピ・ピ・ピーンチ!!またも大事件です。エディンバラ公演を前にしてメンバーの一人が失踪?した模様です。

最後に目撃されたのは、ブライトンからエディンバラへの電車の乗り換え駅であるキングス・クロス駅。ももこん・おのでらん・琴子ちゃんに『ちょっと。』という謎の言葉を残し人ごみにきえていったということです。わたくしすがぽんは、電車の席を取る為の列に並んでいたので残念ながらその言葉を聞くことが出来なかったのですがって、あれ?ってことは…。

そう、じゅんじゅんがまたやってくれたんです。列車の出発時刻の遅れとあいまって飛んでもないことになっちゃったんです。一人だけ列車に乗り遅れてしまったんです。こちらの電車は呼び鈴もなく突然しまる感じなので、探しに行った小野寺さんも危うく乗り遅れそうになったとのことでした。座席に着きみんなで会議をした結果、渡久地君も残ってるし高橋さんなら大丈夫でしょ、と意味不明な高橋さんへの信頼で一同エディンバラ駅で待つことに。

はい、おのでらんです。なんとか私は乗り遅れず、体を半分挟まれながらの出発です。とにかく、エディンバラに向かって列車は進みます。じゅんじゅんの件は心配ですが、心配しても列車は止まってくれないので…あっ車内販売だ。イギリスの列車にも車内販売があるんですね。ドキドキしたせいもあり、のどが渇いたので、コーラをがぶ飲みしたいところです。さっそく財布を出して…あれ?今、すぐそばまで来ていたのに…。あー来ました。おいおい、何でバックするんだよ!! 日本と同じで車内が狭いせいで前からお客が来ると少し広い連結部分の所にさがってしまうんですよ。まるで小動物のようにちょっと出ては、すぐ戻りと、ものすごくイライラします。ももこんとことこちゃんが「買ってこようか?」と言ってはくれるのですが、やはりそこは車内販売。座席で買わなくてはいけません。やっと車内の通行人も減り、手前の座席までやってきました。すがぽんの「あと一人!あと一人!」のエールが響き渡ります。売り子の青年もこちらの気持ちに気付いたのか、「待ってろ! すぐい行ってやるからな」と言った風の顔で迫ってきます。そのとき、列車が止まり駅…。またまた売り子は後ろにさがっていきました。結局それの繰り返しで、気付くと売り子はいなくなっていました。「カムバック!コーラ!!」

で、エディンバラ駅です。高橋さんが乗ってくる予定の電車が来ても来ないんです。一向に。もしや何かあったのかもと、みんながまずい事に巻き込まれていなければいいけどと深刻になって沈みかけたその時、笑顔で走ってくる怪しげな男性を10時の方向に発見!!そう一本遅れた電車でじゅんじゅんついに降臨です。開口一番『いや〜、トイレに行って出たらみんないないんだもん。あっ!みんなずるいよ、何も言わずにマック行っちゃうんだもん。と思ってさ〜。マック行ったらみんないないから焦ったよ。』じゅんじゅん恐るべし。

エディンバラは去年着ているだけになんだかホッとする感じです。借りてる家も去年同様お墓の目の前、ロケイションはばっちり。今年も何かやらかしたいものです。いや、水と油ちゃんはやってくれることでしょう! ねっ。


7月30日

さて、とうとうやってきました、エディンバラです。昨日は色々なハプニングのおかげであまり実感がわかなかったんですけど、一夜明けて街に出てみると、思い出しますなぁ、いろんなことを…。

あっ、おのでらんです。

エディンバラは相変わらず良い街ですよ。まだまだフェスティバルは始まっていないので、落ち着いた感じなのですが、あと3日もすれば、人がてんこもり状態になっちゃうんですなぁ。あぁー勝ちたいっすねぇ。実際…。こんなことを言っていると、「どうなると勝ちなんですか?」とかよく聞かれるんですけど、勝ちは勝ちなので説明がつかないんですが。

あー劇場が見えてきました。えーーーー。すっすごい!でかいです。写真で確認はしていたものの、外観は圧倒的な大きさです。そして中に入ってみると……すばらしい! 予想以上の良い劇場にメンバーもご満悦です。スタッフもどうやらドイツ人の方らしく、(話しによるとドイツ人はとても几帳面だとか…)もくもくと働いております。

今回この劇場では、色々な国の質の高い団体を集めて(質が高いというところがポイント)「ワールドフェスティバル」を開くとのこと、ラインナップを見てみると面白そうな演目が目白押しです。中でも去年僕らも見たんですけど、「DO Theater」というロシアのチームはおととし自主参加(フリンジ)の中で最も良い賞を取った実績があるぐらいで、奇しくも「日本代表」となった「水と油」はそんな強豪達に太刀打ちできるんでしょうか?

またまたじゅんじゅんの鼻息が荒くなり、ももこんは不思議な体操をし始め、すがぽんは覚えたてのイタリア語を連呼しています。去年の反省がどのくらい皆の中で生きているのか心配ですが、楽しみになってきました。

早速準備に取り掛かった面々、去年と同じくじゅんじゅんとことこちゃんは買出し、残りの3人は小道具作りです。そういえば、エディンバラといえば雨、去年も買出しの時に大雨に降られて…といっていたら、はい!降ってきました。今年も雨男じゅんじゅん健在です。今回のツアーは、全くといって良いぐらい雨知らずだったのですが、とうとうやってきました。「てるてる坊主もとうとう効かなくなって来たね。」と出掛けにもらったてるてる坊主の話しをしていると、ももこんが「今日はじめて吊るしたんだよ。エジンバラだからね!」と…えー確か東京でもあれ吊るしたら…。やられました!ナイスアシストです。雨男のせいではなかったのです。雨足はどんどんと強くなります。たまたま小道具は屋内で作らせてもらえたので良かったのですが、もし表で作っていたら去年とまったくいっしょで…。ああーおそろしい。でもまぁ、何とか小道具も出来上がったので、良しとしましょう。

今日の予定の仕事が終わり、心地よい疲れとともにバスに乗っていると、ことこちゃんが小さな声でなにやらつぶやいています。「どうしたの?」と聞くと、バスの中にも関わらず、大きな声で「パエリア食べたい!」と叫び始めました。一同唖然です。そこでとうとう出ました! 去年大好評だった「じゅんじゅんのパエリア」の登場です。出来上がった瞬間、歓喜の嵐につつまれました。ネジがきれてしまったと思われたことこちゃんもご満悦の様子。ことこちゃんは今回も大変な仕事量だけに、喜んでいるのを見るのはうれしい限りですな。お疲れ様です。そしてパエリア恐るべし!!

さぁ、いよいよ明日はつじっちょがやってきます。臨戦体制に入ってきました。


7月31日

つじっちょです。みんなおげんこ?さてさて、この文章かなり長いので心して読むように。途中、はしょるのありですが、全はしょりは許しません!!それでは、はじまりはじまり〜

前日から寝ずにパッキングをし、朝6時半家を出発。さぁ、水ちゃん油ちゃんの待つエディンバラに向けて出発です。

飛行機の出発が40分ほど遅れたけれど、とりあえず無事ロンドン・ヒースロー空港に到着です。そこからエアバスに乗ってエディンバラ行きの電車が出ている“キングス・クロス駅”へ。そしてチケットオフィスで「エディンバラまでの往復チケットくださ〜い」と、もう気分は半分エディンバラに着いている感じでカウンターのお姉さんに言うと、するとお姉さん「エディンバラ行きの電車は今日はもうないわよ」「無いわよ」…って、じゃあ、あたいはどうやってエディンバラまで行けばいいわけ?? 泣きそうな顔をしている私にお姉さん「ユーストン駅に行けばエディンバラまでの夜行列車が走ってるわよ」と教えてくれました。こうなったら夜行でもなんでも行くしかありません。

私はさっそくタクシー待ちの列に並び、自分の番がまわってくるのを待ちました。私の目の前に黒いオースティンが止まり、運転手のおじちゃんに「ユーストン駅まで」するとおじちゃん「ユーストンまでなんて歩けよ」歩けですって!! 私は30キロもあるトランク持ってんのよ。「このトランクすごく重いんだけど」とかわいこぶっておじちゃんに言ってみたけれど「10分くらいだよ、歩け!! 他の客がたんまり待ってんだよ」かわいこぶっても全然だめでした。なんなのよ!だからイギリス人はあまり好きじゃないのよ。(って全員じゃないわよ)仕方なく言われるまま30キロのトランクをごろごろ引いてユーストンまで歩いていきましたさ、つじっちょは。(あ〜書いてて泣けてくる…)

ユーストンのチケットオフィスでもうクタクタになって、カウンターのおじちゃんに「エディンバラ行きの夜行列車のチケットください」と頼むと、「コンプリートリー、フル(満席だね)」って…。もぉーーーーーーー何なのよぉーーーー、この展開は。

つじっちょもう泣きそうです。行き場の無い子羊ちゃん状態です。エディンバラのみんなの連絡先もわからないし、ロンドンの友達の連絡先も持ってこなかったし、もうホントに日本に帰ろうかと思ったぐらいつらくなってきました。でもここでくじけててもどーしょもなんないし、とりあえずもう一回キングスクロス駅に行って、明日の電車のチケットを買ってその辺のホテルに泊まろうと、つじっちょは決心したわけです。

キングスクロス駅周辺といったら夜ともなれば薬の売買で大賑わいの危険地帯です。時間はもう9時をまわっています。(っていってもヨーロッパ夜9時ぐらいはまだ明るいんですけどね)そろそろ怪しい人たちが集まりかけてます。やばいです、子羊ちゃんやられちゃいますよ。ピンチです。早く逃げてぇ〜。

が、しか〜し、そんなピンチ状態のつじっちょに神様はほほえんで下さいました。ぬぁんと! 大学の先輩が目の前にいるではないですかぁ!! わたくしすかさず「助けて〜エディンバラに行けないよ〜(本泣)」。先輩も突然泣かれて驚いていたけれど、いきさつを話すと快く「家に泊まりなよ」って。ぬぁんて優しいんでしょう、そしてぬぁんてラッキーなんでしょうわたくし。

そんなこんなでどん底までへこみきった私の気持ちは一気にグワァンと上がりましたよ。いやぁ〜こんなドラマのような話しってあるもんなんですね。びつくりですよ。でもよかったよぉ〜死ななくてすんだよ。ありがとぉーー神様。

そして次の日無事に電車に乗ってエディンバラへ行くことができました。水ちゃん油ちゃんにも会えましたよ。

さてさて、これからどんなハプニングに見舞われちゃうのでしょう? 気合を入れなおしていくわよ!!! 1・2・3・4・5・アターック


8月1日

はじめまして! フエ吹き小僧こと、渡久地(トグチ)と申します。

実は僕、去年アヴィ二ヨンで「水と油」を観て、一目ぼれでファンになってしまった者なのですが。いや、なぜこんなところに登場しているかと申しますと……。

その昨年のアヴィ二ヨン公演の後、「水と油」の海外公演に毎回神出鬼没で現れてみていたところ(ストーカーではありませぬぞ)、イタリアはトリノ、モンカリエリでつかまってしまいました。モンカリエリでの初日、音響スタッフにかなり難ありだったんです。「渡久地くんに頼もう」小野寺さん、困りきった表情での一声。(結局モンカリエリ公演、残り2日は別の劇場スタッフが頑張ってくれ無事終えることができたのでした)フエ吹き小僧と名乗る僕、専門はクラシックであって、音響の器械なんていじったこと一度もありません。しかし、ここは一ファンとして「水と油」のお役に立てることならば、と小僧、腹をくくりました。ブライトン公演の音響を引き受け、どうにか無事公演を終えられたのであります。

さて、それからエディンバラまでやってきたわけなのですが、こちらの劇場のスタッフは全員ドイツ人だということ。「水と油」メンバーからも「作業が細かい、丁寧だ」と評価が高かったのですが、いやしかし、これまた音響スタッフに問題が……。

小僧、愛する「水と油」のため、またまたがんばっちゃおうかな、と思ってみたのですが、実はエディンバラには本番2日目までしかいることがいることができず、その2日間のうちにどうにか音響のスタッフに流れをつかんでもらうためにアシスタントとしてつくことになりました。ここは、3年近く住んでいるのに一向にうまくならない僕のドイツ語を駆使してがんばらねば、というところです。

さぁ、明日はエディンバラ公演初日! いつもの「水と油」の舞台が作られれば絶対に勝てる、と信じる小僧。さて明日はその舞台、メンバーが演技のみに集中できる、という状態になるのでしょうか?!


8月2日

雨です。今日本番初日なのに雨なんです。水と油ピンチ!なんです。やばいんです。練習が出来なんです。そして、本番の蹴る壁が無いんです。今回の水ちゃん油ちゃん八方ふさがりなんです。

そんな中ふと横を見ると水の貴公子じゅんじゅんと水の女王つじっちょがそろって微笑んでるではありませんか、そこで!!急遽東京のMOTで雨を呼んだ?実績のあるあっちゃん&のんちゃんのテルテル坊主を窓際に飾り、コードネーム『マイナス×マイナスはプラスになる大作戦』を展開!そうしたら起きたんです。奇跡が!!!ついに晴れ間がのぞいてくれたんです。お陰で劇場近くの駐車場で最終調整をなんとか出来たんです。とはいても広さが取れただけで、地面はかなりの斜面になっており軽く合わせる程度でしたが……。

そうこうしてるうちに今日は舞台初日ということで、スコッツマンというスコットランド国営の新聞の写真撮影(劇場の参加メンバー合同)があり、みんなほとんど初顔合わせ、シースルーのカッコで歌いながら撮影する歌劇団?など各グループおのおの自分のグループのカラーを出したポーズで撮影終了。撮影終了後カメラマンから水ちゃん油ちゃんにだけ更なる要求、気に入っていただけたようで何よりでした。そんな中つじっちょがお気に入りの演者さんに急接近、見事ツーショットをGETしてきました。

とその時!新聞を持った琴子ちゃんが『ヘラルドに載ってるみたいですよ。』と笑顔で登場、内容を見てみると、な!な!な!なんと去年見に来ていただいた記者の方が私の去年見たベスト4みたいな感じでINのバリシ・ニコフと並び賞されてるではありませんか!すごいぞ水ちゃん油ちゃん!ありがとうヘラルドさん!

本番の方はというと初日にもかかわらず1時間半以上待って見ていただいた方も数人いたんです。すごいことですよね。ありがたいことですよね。よーし!明日からさらにビラ蒔き&大道でたくさんの人に見てもらうぞ〜〜〜〜〜〜!!!


8月5日

こんにちは。じゅんじゅんです。ここエジンバラでの公演も4日目を迎えました。今回は劇場の規模とスタッフとのコミュニケーションにやられました。7月31日に初めて劇場で照明のシューティング兼スタッフとの本格的な打ち合わせが行われたのですが、これが大変だった!!!

まず照明に関してですが、かなり本格的な劇場で照明もちゃんとつらなければやばいという状態だったのですが、こちらのドイツ人のテクニックは「どこに吊るか言ってくれ。」とまず言ってきました。こっちの展開としては去年イギリスのスタッフ(その名もJ!)に頼んだ時のようにビデオを見せつつキューシートでスポットの位置や照明のイメージを確認していこうと思ったのですが、(水と油の照明と音響は、最初にまずビデオを観てもらうのが一番説明しやすい。)そのスタイルで行くには劇場が立派過ぎる! こんな立派な劇場だったとは、、、。

向こうから送られてきた図面はすげー簡素なやつで舞台の寸法しか書いてないようなやつでした。この建物は元教会なのですが普段は街の集会所として使われているとのこと。フェスティバルの時にだけ劇場として舞台を作るという状態だったのです。道理でこちらが舞台の詳しい図面を送ってくれといっても「ない」の一点張りだったわけですな。そんでなんとなく去年の劇場よりちょっと広いくらいかなとたかをくくっていたのですがこれがおお外れ! なんか教会のど真ん中に舞台がありそれを照明用のトラスががっちり囲んでおり全体的にはものすげーアップグレードな感じだったのです。もと教会ということもあってなんかスピリチュアルな空気すらただよっています、、、、。最初に見たときは笑いました、あんまりすごくて、、、。

そんな中あくまで自分のペースで仕事を進めるドイツ人。直前まで照明プランのやり取りが出来なかったのもありますが、これは完全に僕のミス。あ〜あ、日本で照明プランを詳しく確認しとくべきだった、、、、。かなり戸惑いつつも、彼らのペースに合わせてみることに。

無事に追加の照明を吊り終え、その場でもらった全カンパニー共有の照明図面を見ながら何とか照明の指示を出していきます。それがまたてこずった! こっちはことこちゃんが英語で指示を出すのですが、テクニックのクリスティンが英語が得意ではなく、舞監のリコがそれをまたドイツ語に訳してクリスチティンにいちいち言うのです。つまり俺とテクニックの間に2人入るわけです。おまけに照明卓は最新式のやつでコンピュータのモニタがついてるやつです。クリスティン自身が使い方すら良くわかっていないという状況です。コンピュータの卓ってかえって時間かかるんだよな〜。結局すべての照明はその日のうちに終わらず、翌日の朝に持ち越すことになりました。

それでも何とか準備を整え初日を迎えました。ここでまた難関が! こんな時にジャーナリストが4人も来るとのこと。劇場側のスタッフが「もし初日に来てもらいたくなければ、記者に断ることもできるけど、、、。」と言っていましたが、はっきり言って次に来てくれる保障はありません。とにかく見てもらったほうが良いだろうということで、OKしました。

そんなどたばたの中初日はやはり満足の行く出来ではありませんでしたが、とにかくがんばった! しかし照明や音響のミスにこっちがつられたりして、そんなところをジャーナリストに見せてしまったなあ、、、。かなり残念でした。

初日ということで(こちらのフェスティバルでは一応初日と2日目は関係者向けのプレヴューということになっているのです。)作品の可能性を買ってくれるといいのですが、、、。まあ不利の条件の中ではがんばりました。

お客さんはぼちぼちといった状態で、10人から20人といったところです。やはりエジンバラは広い。そして今回の劇場は中心地から20分ほど歩いたところでかなり遠いのです。

しかしあきらめすに今日も大道です。それに今日は日曜日。人が来るかもしれん。なぜかと言うと、なんとヘラルドに去年記事を書いてくれたジャーナリストが「今年のおすすめ」というコーナーで僕らの演目を載せてくれているのです。もしかしたら今日は、、、。あせる気持ちを抑え、宣伝の大道を終え劇場に向かいました。時間になって舞台で準備を進めていると、劇場のスタッフがニコニコ顔で「準備はいいか?」と聞いてきます。もしや、、、。セッティングを終え客が入り、本番です。明るくなると、、、、、。

をををををを、、。ひとがいっぱいいる!!!!びびりつつも気合入りまくりでがんばりました。カーテンコールに出るとすげ―感じの拍手です。足をどんどん踏み鳴らしあおってくれました。そんで人数は、、、、、、、、、。52人!!すげ〜、スタッフも盛り上がっています。なんと今この劇場でトップの動員数です。お客さんの何人かは残っていて、「really great!!」とか言って話しかけてきてくれました。や〜やりました。何とか形が見えてきましたな。明日からもこの調子で行きたいもんですな。

夜はエジンバラ城に去年見れなかったタトゥーを見に行くことに。タトゥーっていうのは、ミリタリーショウでブラスバンドの行進の大規模なやつなのですが、その中のメインのバグパイプ軍団がダントツでかっこいい。全部で100人以上の楽隊なのですがこれがまたすげ〜迫力でそいつらが動くと音圧がそのまま移動するって感じで、音そのものに包まれるような感覚があり、かなり満喫しました。いい席のチケットが全員分はなく俺だけ全然離れたところで観ていたのですが、周りが外人の中一人で「うを〜!!!!」とか「うおっしゃ〜!」とか叫んでしまうほどかっこよく、「日本に帰ったらバグパイプを習おう。」と固く心に誓いました。そんで夜中の公園で稽古です。キルトの下はノーパンで、、、。


8月10日

うぉぉぉーっ。どうにもこうにも、どこに向かって力を入れたら良いんだか…。

おのでらんです。なかなか集まらないんですよ、お客さんが! といっても去年よりも格段に増えてはいるんですがねぇ。実際、ここ数日50人弱といったところで、劇場のなかでもお客が入っているほうで、贅沢を言ってはいけないとは思いつつも、「もっと!もっと!」と言った気持ちです。

今回の劇場は200人以上も収容しちゃう劇場なので、50人ではまだまだパラパラな感じは否めません。どうしましょう。劇場いっぱいのお客さん、きてくんないですかねぇ。

ここんところ頼みの大道も雨が降ったりで、思うようにいかないので、新聞とかにドドーンと載ってくれちゃったりすると良いのですが…。と思ったら大きな写真を発見!! ただ残念なことに劇評などがなく、写真と名前の紹介のみの記事になっているんです。これだって貴重な武器なのですが、あせり気味の面々は「劇評もなくて、これでお客くるのかぁ?」と朝から大騒ぎです。よく見たら、同じ劇場で公演をしているポーランドのチームが「フリンジファースト」という賞を獲ったようで、「いいなぁ」と連呼の嵐。でもそう言いつつもここからが、「水と油」の本領発揮です。ナイスなラストスパートかけてくれることを期待しつつ劇場に向かいます。

そういえば、今日はのび太郎さんが帰ってしまう日なので、そんなことをかね合わせてみても、何とかしたいですねぇ。どんな週末を迎えるのか…。いってきまーす! 目指せ三桁!です。


8月11日

きょうはいよいよ週末です。水ちゃん油ちゃんとしても、ここでもうひとふんばりして観客動員数をあげたいところ。しかあし! 皆様にお知らせしなければならないことがあります。

ドロロロロロロロ、、、、、、、、、ジャン!

な、なんとヘラルドと言う新聞社のヘラルドエンジェルという賞を受賞してしまったのです。これはフェスティバルの中間に発表される賞で、全団体中6組が選ばれるとのこと。エンジェルと聞いて水ちゃん油ちゃん一同、「エンジェル?それってなんか大丈夫なの?」とうれしがりつつも若干不安で、劇場の人に聞いてみますと、なんとすげ―賞らしく、改めてびっくり。

実は昨日、ウォルフガング(劇場のヘッド)が教えてくれて今日はなんとその授賞式なのです。「授賞式?それってなんか大丈夫なの?」とみんなで恐れつつも午前中いそいそと会場に向かいました。会場はなんとインのフェスティバルシアターというところでかなりゴージャスです。行くとヘラルドのアート担当の記者キースが迎えてくれました。そんでなんとアカデミーのオスカーみたいなトロフィーまで置いております。「あ、あれがもらえるんでずが?」と既に須賀ちゃんは壊れはじめています。

ほどなくしてセレモニーは始まり、関係者の見守る中キースのあいさつが始まりました。そして順番にエンジェルの形をしたトロフィーを渡していきます。3番目にぼくらの名前が呼ばれた時に、須賀ちゃんがついに壊れました。全体的にハイソでアダルトな空気の中、突然「いぇーい!」と叫びだし、ガッツポーズを連発しています。「す、須賀ちゃん、いっぱいいっぱいなんだね。」と血走った彼の目を見つつ思いながら、みんなが失笑する中、前に出ていってヘラルドエンジェルを受け取りました。記念撮影をしてキースとがっちり握手を交わし授賞式は終了。イヤーホントにびっくりです。去年の千年文化祭の時もびっくりしたけど、今回のもかなりびっくりです。

さて授賞式も終わり、さっそく日課の大道です。授賞式が記事になるのは、たぶん月曜日とのことで、まだまだ大道で人を集めなければなりません。いつものようにガッツリと大道を終え劇場に。今日はなんか起こるかもしれん。期待しつつ準備です。客入れの時間になりいざ開場。すると、、、、人のざわめきが途切れません。むむむ、よっしゃ〜、今日ははいってるかも?

本番が始まると、笑い声の波がいつもよりでかい! カーテンコールに出るとすげー入っています。なんと今日の人数は82人!もちろんこの劇場でトップです。観客の反応もよく、かたづけをしているとみんなこっちに来て口々に「良かった!」とか「すげーよ」(多分いっていた。)と肩をたたいていきます。この調子だと三ケタ動員も見えてきました。

いよいよあと2日。ファイナルです。劇場のスタッフとのコミュニケーションもかみ合ってきて、みんな細かい調整を自分でチェックしています。特に照明のクリスティンは、細かいタイミングまで「あそこはもうちょっと早い方が良いんだろう?」とか聞いてきています。作品も劇場になじんできました。もう無敵です。後は人を呼ぶだけ! がんばれ水ちゃん油ちゃん!


8月13日

またもや雨です。しかも昨日に続き本降りです。昨日106人という偉業を成し遂げ、今日も大道でがっつりお客さんをゲットしようと思っていた矢先、バケツをひっくり返したような雨です。ちなみに朝食は昨日のつじっちょ作ホウトウ鍋のおじやでした。これは実にうまい。

話しは本題にもどりますが、頼みの綱の、ヘラルドのエンジェル・アワードの記事は誠にしょっぱく文字だけというありさま。一体あの時撮った写真は何だったのだろう…果たして水と油ちゃん! 昨日の記録をこんな悪条件の中、超えることができるのでしょうか。

新聞が後押しにならないと言うことで、ここはやっぱり大道しかない!と意気消沈しながら家を出ると、雨は小ぶりになり、いよいよ水ちゃん油ちゃんペース、神風到来、風ビュービューでございます。ハイストリートのステージへ行くと、雨と言うこともあって他の劇団はまだ来ておりません。あっという間に人を集め、花満開、人てんこ盛りでございます。今日の目標人数である『平日なのに3桁ゲット大作戦!!』を成功させるため、全力投球、超高校生級でございます。

ふと時計に目をやると時間ギリギリ、ヤバイ!タクシーだ! 気付いた時には後の祭り、駅に行っても、どこにいってもタクシーがつかまらず、心の中で「そうだ歩こう」と思った瞬間!!エンジェルが微笑みました、同じ劇場でやっている劇団の車発見!! じゅんじゅんすかさず笑顔でダッシュ!!! んがしかし、あと少しというところで信号が変わり天使の微笑からじゅんじゅんの苦笑いに変わってしまいました。その顔を知ってか知らずか、目の前にタクシーが止まりました。すると中からエリザベス級のおばちゃんが(体型が)降りてまいりました。何とかその車をつかまえ劇場にレッツラ・ゴー!!

最終日に重役出勤、永ちゃんばりの車横付けでございます。チップを多めに払い急いで楽屋に。そのチップのおかげで今日は飲み物なしでした。本番蓋を開けてみると、♪タタタタッタター、ババーン、ななななんと!

あっ、そういえば今日はバリシニコフを観にいくんでした。バリシニコフと言えば、そうです、じゅんじゅんが一緒に写真をとった世界的超有名ダンサーです。ラッキ―なことにじゅんじゅんったら道でチラシを配ってる時に、じゅんちゃんソロダンスを忍びバリシが見ていたんです。バリシの公演はさすがにINとあって劇場から違いました。アイスなんて一個£2(360円) オペラハウスバリの良い感じ、キャパも1000人級でございました。さすがです。日本でバリシ師匠を見ようと思ったら1万円はくだらないというのにこちらだとなんと£15(3千円弱) それは劇場に足を運ぶ習慣がつきますよね。終演後じゅんじゅん大興奮! 帰りのタクシーの中で…

おっといけない仕切りなおし♪タララ・ララララ〜ジャ〜ン!最終日の本日の入場者数は、な・な・な・なんと驚くなかれ昨日を大きく上回る126人でございます。作戦成功でございます。今年もありがたい事に、やっとくちコミで軌道に乗ったところで惜しまれつつ?の帰国とあいなりました。毎日大道&チラシ蒔きに精を出したかいがありました。

いや〜それにしても水ちゃん油ちゃんすごいですね。きっちり劇場集客量ナンバーワンになっちゃいました。これで胸を張って帰国が出来ます。日本で水ちゃん油ちゃんを応援して頂いた皆さんありがとうございました。これからもよろしくおねがいいたします。

余談ですが、夜の打ち上げでパイ投げやっちゃいました。やっほーーーー!